小論-04

オリンピック返上の
ラストチャンス!
2015年9月1日

オリンピック返上のラストチャンス!

2020年開催予定の東京オリンピックは、主会場になる国立競技場が既存施設を取り壊した直後のコンペやり直し、そのエンブレムも盗作疑惑と不祥事続きです。
そもそもこのオリンピックには、一国の総理大臣が「汚染水問題(即ち原発問題)はアンダーコントロール」との真っ赤な嘘を付いて招致したいかがわしさがあります。 オリンピック憲章の精神(倫理性)にもとる経過ですが、何といっても一番罪深いのは、「復興」の収奪です。
2011年3月11日東北大震災に端を発した東京電力福島第一原発の暴発により、首都圏に住む人々は、生活を支えるエネルギーの多くを東北から奪ってきた事実が突き付けられました。なのに震災からの「復興」を招致理念に掲げるのは、「復興」さえも東北から収奪することになります。
その証拠にオリンピック需要を期待する業界の思惑から建設費や人件費が高騰し、罹災された皆さんが心血を注ぐ復興活動の多大な障害になっているのは周知の事実です。東北の方々は慎しみ深いので、スポーツの祭典であるオリンピック開催を表立って批判されませんが、腹のなかは煮え繰り返っているはずです。開催支持者たちはその奥床しさに、思い至らないのでしょうか。競技場コンペ案不調の一因に、建設費高騰がいわれますが、まさにマッチポンプそのものです。
そのメイン会場に世界中から集うアスリートたちは、IOCや招致活動する老人たちと比べて命に関わる放射線には、よりセンシティブに違いありません。
嘘やまねごと、横取りや健康不安。虚飾に塗れたオリンピックに参加せざるをえない若い選手たちに、心から「おもてなし」できるでしょうか。本来「もてなし」は、客人が気兼ねなく滞在を楽しんでもらえるように、気持ち良くお世話することですから。
さらにいうと今やオリンピックの話題で盛り上げることが、震災復興の遅れや原発事故隠しの道具になっています。
ですから今が負の需要だらけのオリンピック開催を返上するラストチャンスです。
そこで、同時に立候補したスペインかトルコに譲っては如何でしょう。トルコは隣国シリアの内戦問題があって複雑ですから、スペインが妥当かもしれません。同国もギリシャのような経済不安を抱えていますが、オリンピック関連施設の約80%はすでに準備ができて受け入れ体制が整っていることを招致の売り文句にしていましたから、歴史的にも因縁深い日本が全面協力して、財政負担や環境負荷の少ない新しいイメージのオリンピックを目指せば、今からでも遅くないでしょう。
2015年9月1日
【小論−04】