小論スポーツ編-03

1996年11月

「守りを変えたところに打球は飛ぶ」か

「守りを蛮えたところに打球が飛ぶ」という”神話”が、七不思議の一つのように、よく野球中継で聞かされます。でもボクは、この話を余り信じていません。なぜかというと— このシチュエーションは、守りの強化のために野手を変えるのですから、その変った普通よりうまい選手の守備範囲に打球が飛ぶように投手が配球出来れば、変えたところに飛ぶ確率は、上がるかも知れません。しかし、投手のコントロールミスや、守備が良くなったところに打ちたくない打者心理を考えれば、それほど確かなものではないでしょう。
それよりも、野手を変えたところに飛んだ時だけ話題に乗せ、守備固めしても打球が飛ばなければ、まず問題にしないから、ほとんど百パーセントの確率で、「守りを変えたところに打球が飛んで」しまうのです。変えた野手のところに行かないケースは沢山あり過ぎ、アナウンサーも解説者も注目した試しがありませんが、これを全部集計すれば、ボールの行方のバラツキは、通常とそれほど違わないはずです。 つまり、統計するにはデータが足りない、初歩的ミスから生まれた非科学的な欠陥”神話”なのです。
ID野球とか、コンピューターで他のチームの情報を管理・操作する時代なのに、まだ、このような迷信が罷り通っているほうが、七不思議の一つです。
1996年11月
【小論スポーツ編−03】