小論-01

「政治の救済を望む」
2011年4月20日

「政治の救済を望む」

ー心ある与党議員の方々へー

「平成落首」
地震と津波………天災
原発事故…………人災
生活不安…………菅災
3.11前、既に統治能力の欠如を露呈し信頼を失っていたリーダーが(支持率20%以下)、この国難に乗じて政権浮揚を図り、頑張り始めた。だが頑張るほどに空回りするばかり。震災後一月以上経つのに被災地ではライフライン復旧が遅れ、仮設住宅の建設も予定通り進まず、遠く離れた首都圏及び周辺住宅の生活も、未だ流通障害や情報不信などにより儘ならぬ有様。小人は不安を抑制できぬ故に軽挙に傾き、激情に駆られる。当然官僚は信を置けず動けないので、生活全般に支障を来す。被災地が広大過ぎるとしても、官僚を使えぬ証左と言えよう。以前中曽根元総理が現政権を「市民保守」として認知して以来、菅・仙谷チームの性格は、与謝野氏起用でも分かるように「菅・曽根内閣」と言っても過言でない。これこそ「市民派」の看板をかなぐり捨てた執着策だろう。保守に乗って市民派に付き纒う「ひ弱さ」を隠し、一見官僚を使えそうだが、そうならないのはリーダーの資質不足による。そんな指揮官にどうして危機管理を委ねられよう。小人はそれに気付かないので厄介だ。
この非常時こそ結束が大事とばかりに、御用メディアや解説者たちは、政局を忌避し大連立をと掻き立てるが、小器がずるずる居座るより、早急に適格者を選び直す方がよほど国民の利益になる。
震災後の政府の対応は、場当たり的かつ延命画策の様相を呈して見苦しい。初動の原発視察や思い付き大連立案などだ。野党時代、菅氏も述べたように政治は結果責任だから、原発事故の対処に失敗した以上(当初の思惑外れ事故レベルの急上昇や後手に回った対応)即座に責任を取るべきだろう。
与党にはまだ他に適材があるのに、好悪の情を持ち込んで人材を活用していない。例えば国民新党代表亀井静香氏を半年間期限付き臨時首相に任命して(郵政は封印)、小沢一郎を震災担当特命相にすれば(司法を含む政治休戦)、少なくとも現状より、官僚を使えるだろう。総理交代が困難なら、首相代理として一時的に実権を移譲する手もある。また年寄り頼みかと言われそうだが、今時の若手に官を差配できる人物は見当たらない。未曾有の大災害による共助の折、自助派の出番はないから綾雲会系幹部はお引き取り願い、原口・細野・福山氏など有為な若手を登用されたい。
ところで末期的指導者が権力にしがみ付くのは、それを手放した後の報復が怖いから。それ故緊急内閣では、そうした狭量な手法を排し、退き易い環境を整えれば良い。そこで総理の後見役を自認する江田参院議員に願う。父君三郎氏に遺志に添うなら、信頼されない人物に権力を委ねるのは、国民への裏切りにならないか。晩節を汚さぬよう、総理に引導を渡してほしい。
心ある与党議員の方々へ。この非常事態を本当にこのリーダーに委ねていいのか。今度の大災害は多くの住民や構築物のみならず政治をも痛打した。だから、これは倒閣運動や政局と言った低次元の話ではなく、被災者救済同様の緊急を要する「政治救済」なのだ。信頼できない指導者が世界や国民に向けて発するメッセージを聞くこと程虚しいものはない。今私たちが求めるのは、確実に生活不安を取り除ける信頼に足る指導者である。
2011年4月20日
付記 
2009年民主党政権誕生に期待して多くの意見を表明した。半年後、殆どの民主党議員は官僚を使えず政治を動かせないことを知り、期待は失望に変わった。特に財務省の言いなりに消費税増税を決めた菅元総理に、裏切られた。東日本大震災後の最大の失敗は、その増税と'20年オリンピック招致だろう。1000年に一度の大災害で東北が疲弊している時、本来公共投資と減税を以って東北に集中すべきなのに、真逆をやった。さらに原発危機の折トップリーダーが軽々しく動き回り、一致協力して対処すべき要所で、当事者を罵倒する愚挙に出た。小人たる所以、宰相の器でなかった(筆者同類ゆえに分る)。大手メディアは民主党を二大政党の一翼に育てる仕事を放棄、公約違反の増税を嗾け、政権崩壊を促した。
2017年1月10日

【小論−01】